2022 年 78 巻 1 号 p. 23-34
都市/植生キャノピーを過ぎる流れは自然界に遍在し,その予測には抗力モデルが広く利用されるものの,任意の障害物群に対して適切な抗力係数をどう与えるかという本質的な困難を伴う.本研究は適切な抗力係数の推定法確立に向けた試みで,特に抗力モデルの代表速度にundisturbed flowを課すことの有用性や問題点を,円柱群を過ぎる開水路流れを対象として検討した.結果はundisturbed flowを考慮することの妥当性と,流れの非平衡性が強い領域での抗力モデルの限界を示した.Undisturbed flowの算出には莫大な負荷を伴うものの,その簡易推定量と位置付けられる接近流速に一定の有用性が認められた.接近流速の定義の一般化,抗力モデル解析の空間解像度の影響の理解,3次元解析の実施が今後の課題と言える.