2022 年 78 巻 2 号 p. I_115-I_120
観測データが乏しい流域(例えば観測期間が20年未満)では,一般的に観測値として再解析データが利用される.しかし再解析データは,データ同化が適用されているものの,空間解像度が粗く,地形の効果に伴う気象現象の再現性に課題があり,観測値との間にバイアスを持つ.既往の研究では,再解析データに対する統計的補正手法が提案されている.ただし,検討は降水量のみに留まっている.そこで本研究では,降水量以外の水文解析に必要な気象要素(気温,大気圧,全天日射量,湿度,風速)を対象に,水文気象観測データが乏しい流域において適用可能な統計的補正手法の構築を試みた.その結果,既往の研究で提案されている統計的補正手法は降水量以外の変数にも適用可能であり,観測値に準ずる水文気象データを高精度に作成できる可能性が確認された.