2022 年 78 巻 2 号 p. I_121-I_126
既往の多くの研究では,気候変動影響評価において,気候予測値(気候モデル)はアンサンブル実験結果により不確実性を考慮している.ただし,予測洪水によって変化すると考えられる流出モデルなどの影響評価モデルのパラメータの幅による予測値の幅(不確実性)が考慮されていない.そこで本研究では,可能流出モデル(取り得ると想定されるパラメータを用いた流出モデル)へd4PDFの出力値を入力値とした気候変動影響評価を行うことで,気候モデルだけではなく流出モデルの不確実性が将来予測へ与える影響を評価する.その結果,洪水や低水流量の発生頻度などにおいて,最適モデルのみでは確認することが出来ず見落としてしまう恐れのある変化傾向を予測できる可能性が確認された.