2022 年 78 巻 2 号 p. I_199-I_204
本研究では,床上浸水の評価を目指したリアルタイム内水氾濫予測についての方法の開発途中経過を整理したものである.この方法は,事前準備フェイズにおいて予め力学モデルを用いて計算しておいた浸水深分布を保存しておき,実時間運用フェイズではそれら浸水深分布を任意降雨波形に応じて呼び出すことにより,実時間運用フェイズにおいて計算負荷の少なく,計算時間を短縮する方法を提案し,床上浸水の評価を目指す.提案方法の検証として,従来の平面二次元不定流計算での氾濫解析結果と,提案方法による結果を比較した.提案方法は湛水量の時間変化を算定することはできるものの,任意時刻の浸水深を把握することはできない.しかし提案方法は,浸水が発生してから解消されるまで計算すると,従来の方法と同等の最大浸水深分布と床上浸水発生箇所を得ることができると考えられた.