土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第67巻
逆サイホンを用いた閉鎖性氾濫原からの氾濫水の早期排除と超過洪水対策に関する考察
赤穂 良輔石川 忠晴
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2022 年 78 巻 2 号 p. I_229-I_234

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抄録

 堤防整備は河川氾濫の防止・軽減に貢献する一方で,氾濫原を分断して閉鎖的区域を作る.堤防決壊が生じた際に閉鎖性氾濫原では浸水が長期化することから,気候変動による豪雨災害増加に備えて氾濫水の早期排除のための計画が必要になると考えられる.そこで本研究では,2015年鬼怒川左岸堤防決壊により長期間の浸水が発生した閉鎖性氾濫原を対象に,逆サイホンによる自然排水効果を数値シミュレーションで検討した.その結果,同水害での浸水期間を大幅に短縮できることがわかった.また,越流堤と逆サイホンを組み合わせた超過洪水用流水型遊水地を想定して数値シミュレーションを行ったところ,河道計画流量の20%増しの超過洪水においても,集落のある自然堤防に冠水せず,下流氾濫原への洪水ピークを大幅に減じる可能性のあることが示された.

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© 2022 公益社団法人 土木学会
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