2022 年 78 巻 2 号 p. I_241-I_246
近年,気候変動の影響により増加する大規模な洪水の被害を防止・軽減するために,流域におけるさらなる流出抑制対策が必要とされている.本研究では,そのような対策の一環として車道での透水性舗装の導入に着目し,その洪水調節効果を分析した.既往研究では対象流域・降雨の規模が小さく,雨水の地中への浸透による地下水位の上昇や,地中における水平方向の浸透,舗装内部に貯留された雨水の排水は考慮されてこなかった.本研究では,大規模な流域・降雨を対象とした透水性舗装の洪水調節効果を分析するために,これらの要素を考慮した流出解析手法を構築した.新たな手法による解析により,透水性舗装の導入が将来降雨に対しても一定の洪水調節効果を発揮しうること,その効果は地下水位の状況により異なることが明らかになった.