2022 年 78 巻 2 号 p. I_247-I_252
本研究では,熊本県白川水系黒川流域を対象に,機能分離型田んぼダム導入による本川への流出抑制及び浸水軽減効果,水田地区ごとの流出抑制の特徴をシミュレーションにより推定した.その結果,水田1,687ha(流域水田の32%)に田んぼダムを導入した場合,10年,30年,50年確率に対しては50mmの流出孔が最も本川への流出抑制効果を発揮し,50年確率降雨に対してピーク流量を33.7m³/s(5%),浸水域を54ha(7.1%)低減させる効果があると評価された.また,各水田地区における流出抑制効果は,地形勾配,背水の有無が関与し,背水がなく地形勾配が大きいほど1ha当たりのピークカット量は大きいと推定された.