2022 年 78 巻 2 号 p. I_259-I_264
本研究ではスマート田んぼダムの浸水被害軽減効果を評価することを目的に,宮城県大崎市米袋排水機場流域の解析モデルを構築し,複数の降雨シナリオで排水シミュレーションを行なった.その結果,スマート田んぼダムの排水基準水位を超過しない降雨の時には,全ての降雨を貯留しても畦畔を越流しないため,従来の田んぼダムに比べて高い浸水被害軽減効果を発揮することが示された.一方で,排水基準水位を超過する降雨の場合,超過した時点で田んぼダム非実施水田の流出量と変わらなくなるため,従来の田んぼダムより浸水被害軽減効果が低減することが示された.また,降雨ピークが後方に移動するにつれ,貯留ポケットが喪失し,浸水被害軽減効果が低減することが示された.