2022 年 78 巻 2 号 p. I_421-I_426
地球温暖化に伴う異常気象により,近年では多くの水害が頻発している.高度に都市化された東京で大規模水害が発生した場合,甚大な被害が発生しやすい場所の一つに地下空間がある.東京23区の地下には多くの地下駅を結ぶトンネル網が存在し,これらを通じて氾濫水が移動することで浸水が容易く拡大しやすい.過去の研究で大規模な外力条件のもとに地下鉄トンネル内の浸水プロセスを論じているが,本論文ではより現実に即した予測計算を行うため,地下鉄駅連絡口への流入量の計算手法を新たに検討し,地下鉄トンネル内の浸水予測計算を行った.その結果,計算手法によりトンネル内の浸水結果に変化が生じ,連絡口部分の浸水深の適切な評価の重要性が示された.また,止水板の設置が有効であることや,適切な列車抑止措置が重要であることが確認された.