2022 年 78 巻 2 号 p. I_433-I_438
近年の大雨による災害が多発する中,浸水域で事業所から工業油が流出する事故が報告されている.本研究では,浸水域での油の流動を把握することを目的として,Lagrange的手法による数値予測を検討した.
予測手法としてランダムウォーク型モデルと相互位置型モデルを取り上げ,まず,Fayのモデルとの比較から,各Lagrange形式のモデルによってFayの算定結果が表現されることを示した.つぎに,内水氾濫域での油の流出事故を想定した計算を行った.その結果,いずれのモデルにおいても洪水流と風によって油が流動するが,計算手法の違いによって油の分布範囲に相違が生じることが示された.