2022 年 78 巻 2 号 p. I_535-I_540
本研究は,中小河川流域において流出解析を行い,人口減少に伴う流域の変化による流量の変動評価を行った.人口減少は,土地利用変化や河道内変化を促し,流域の水文過程を変化させることが予想される.現土地利用と比較して,全域を森林とした土地利用かつ植生により覆われた河道に変化した場合の流量増減を評価した.年最大流量は須川・大谷川において減少し,洪水リスクの低下が示された.河川管理が行われない場合,河道周辺の氾濫リスクは高まる.土地利用変化に加え,氾濫を想定した場合の流量増減を評価した.氾濫は3流域の内2流域において発生し,氾濫の考慮により更なる年最大流量の減少とピーク流出の遅れが見られた.人が住まなくなった流域において氾濫の発生を誘発することは下流の洪水リスクの低下を促す効果がある.