2022 年 78 巻 2 号 p. I_571-I_576
本論文では,黒部川を対象に,機械学習による地被検出精度が洪水流解析に及ぼす影響を分析した.機械学習により,衛星画像から検出した河川地被を粗度係数に換算して平面二次元流況解析に反映させた.同様に,UAV空撮画像からの正解データの地被状況も反映させ,それらの洪水流解析による水面形や流速分布を評価した.さらに,機械学習で精度評価に使用されるF値を河川横断面ごとに算出し,それらの縦断分布と対応する解析水位を比較することで,地被検出精度が洪水流解析に及ぼす影響を分析した.その結果,F値が0.8以上であれば,地被検出精度による影響を受けずに,洪水流解析結果が一定精度を確保できることが示唆された.また,洪水流解析で機械学習の地被分類結果を用いるときの必要条件としてF値を拡張的に適用できる可能性が示された.