2022 年 78 巻 2 号 p. I_613-I_618
本研究では,高水敷先端部に吸込み機能を有する複断面開水路において,吸込み操作に伴う流れ場の特徴を流速計測,流れの可視化を用いて検討した.流速計測にはPTV(Particle Tracking Velocimetry),流れの可視化には蛍光染料注入法を用いた.平均流速分布では,吸込み操作によって,斜昇流が消失するとともに,時針方向,反時針方向の対を成す旋回流も同様に消失することが明らかとなった.乱れ強度分布では,吸込み有の値が吸込み無に比べて低いことが認められた.また,レイノルズ応力分布では,吸込みの有無で分布の位相が逆転することが明らかとなった.流れの可視化からは,縦渦構造の高水敷先端部における時空間的集中は,吸込み操作によって,間欠的な形成へと変化することが認められた.この縦渦構造の間欠的な形成が流れ場の変化の原因であると推察された.