2022 年 78 巻 2 号 p. I_655-I_660
近年,越水による堤防決壊が多発しており,耐越水性を持つ堤防が求められている.越水に対する堤防強化のひとつである裏法面コンクリート被覆工は,越水に対する被覆工の安定性確保が重要となる.しかし,越水場での被覆工の流体力特性や被覆工の不陸による流体力の変動特性について定量的に評価されたものは殆どない.本研究では,越水場での被覆工形状と流体力の関係や不陸による流体力変動特性を検討するため模型実験を実施した.その結果,平板ブロックは,不陸により作用流体力が増大することを明らかにした.また,粗度が大きな被覆工は,不陸による流体力の増大はないが,作用流体力が大きく振動していることを明らかにした.今後は,安定性評価に対する適切な安全率の導入,所定の性能を発揮するための維持管理について検討する必要がある.