2022 年 78 巻 2 号 p. I_727-I_732
近年,ヒートアイランド現象の影響により熱中症被害が増加しており,予防策には高密度気象観測網の整備と人体の暑熱ストレス評価が不可欠である.本研究では気象5因子(気温,湿度,風速,短波放射,長波放射)を測定でき,無線通信による高密度気象観測網の構築が可能なIoTデバイスを開発した.作成した6台の試作機の短波放射,長波放射,気温,風速の測定精度を検証した結果,それぞれの気象因子のRMSEの平均は,19.1[W/m2],3.86[W/m2],0.389[℃],0.374[m/s]となり,屋外において実用的な精度で気象観測が可能であることが示された.また,屋外気象観測ではWBGTを算出し,狭い範囲でも環境条件の違いにより局所的な微気象場が形成されることが示唆された.