2022 年 78 巻 2 号 p. I_763-I_768
荒川中流域は広大な高水敷と横堤群を有し,洪水時にピーク流量を遅らせる効果がある.しかし,令和元年東日本台風の実績流量から得られるピーク流量の遅れは大きく,横堤の影響のみでは説明できない.本研究では,洪水時の高水敷への浸透が流量や水位に与える影響を検討するため,平面二次元洪水流解析と一次元または準二次元の浸透計算を組み合わせた解析法を構築した.高水敷上面からだけでなく低水路から高水敷への水平方向の浸透も考慮した解析では,水位ハイドログラフの概形(水位上昇速度)の解析精度が向上することを示した.荒川第一調節池周辺の最大水位については課題が残るものの,調節池への越水開始時刻を精度よく解析するためには,浸透の考慮が重要であることを示した.