抄録
日本を取り巻く海洋の環境,防災,資源開発を考える上で,日本近海の海洋環境を把握し,流動構造・水温変動などの海況の変動解析を行うことが大きな課題となる.そこで本研究では,日本近海を対象として 982年から約30年と長期間で水平解像度1/10度と高解像度の最新の再解析データFORA-WNP30を使用して,日本海を対象とした海洋環境解析を行った.FORA-WNP30の日本海における水温,塩分の再現性を評価し,どちらも高い再現性を有していることを確認した.その後,日本海における水温・海峡流量変動の解析を行った.その結果,日本海全域で水深300mまでの水温上昇が顕著であること,日本海の各海峡流量が約1年の周期で変動し,対馬・津軽・宗谷海峡の流動に高い相関があること,間宮海峡ではリマン寒流の影響を強く受けるために,他の海峡との流量の相関が小さくなることが分かった.