2022 年 78 巻 2 号 p. I_85-I_90
本研究は,複数流域において同時氾濫が発生する可能性について,関東地方を例に大規模アンサンブル気候予測データであるd4PDF(5km, SI-CAT)を使用し検討を行った.計画雨量を超えたイベントを氾濫が発生しうる降雨イベントと定義し,基準とする流域において年最大3日(2日)雨量が発生した期間における他流域との比較を行った.その結果,将来気候下において,年最大降雨量を発生させる降雨イベントは,隣接する距離の近い流域で顕著となるが,関東地方全体においても増加する傾向があり,複数流域において同時氾濫が発生する可能性が高まることを示した.