2022 年 78 巻 2 号 p. I_961-I_966
これまで多くの砂州に関する研究が行われてきたが,砂州の発生の起源が何であるか,また,それがどのような機構のもと発達していくかは未解明である.本研究では,まず,ごく初期に平坦床から発生する斜め交錯模様を含む砂州の形成過程を高い空間分解能で高頻度に計測した.次に,これに基づき一連の過程における河床波の移動速度を定量化した.その結果,初期に発生した高波数の河床波は空間分布を有し,しかもその横断方向成分は徐々に河床波の変形に対して無視できない規模となることが分かった.このような移動速度の特性により,高波数の河床波は,徐々に低波数の河床波へ統合され,一般に砂州と認識されている河床波を形成することが分かった.以上の結果は,本研究で実施した実験条件において,斜め交錯模様が砂州の起源であることを示唆する.