2022 年 78 巻 2 号 p. I_955-I_960
交互砂州の発生条件や平衡波高および平衡波長の推定に対して安定性解析は大きく貢献してきている.安定性解析の妥当性は多くの先行研究において議論されてきたが,解析の根本的な要素の一つである砂州の移動速度に基づいた議論は十分になされていない.その理由の一つとして,交互砂州の発生・発達過程における砂州の移動速度の定量化の手法の未確立が続いてきたことが挙げられる.著者らは先行研究において,交互砂州の発生・発達過程における砂州の移動速度の定量化を試みており,その妥当性を模型実験から確認している.本研究では,上記の砂州の移動速度と安定性解析から推定した移動速度を比較することで,安定性解析の妥当性について検討した.その結果,安定性解析から推定される波数ごとの移動速度は,砂州の移動速度の空間分布と良好に対応し,砂州の移動速度の観点からも安定性解析が妥当であることが示唆された.