哈大道路は,満洲国において計画整備されたハルビン(哈爾濱)-大連間を結ぶ約1,000kmの高速道路である.本研究は,哈大道路の計画整備の経緯及び計画内容の特徴を明らかにするとともに,高速道路計画史における意義について考察することを目的としている.研究の結果,以下3点を導出した.1) 1938年から1945年にわたって推進された哈大道路の計画整備の経緯を明らかにした.2) 哈大道路は,戦前に日本人技術者らが計画整備を推進した最初期の高速道路事業として位置づけられる.3) 哈大道路の設計思想には,同時代に先行整備されていたアウトバーンと共通する内容が確認された.哈大道路は,日本人技術者によって計画整備された本格的アウトバーンとしての先駆をなすものであったといえる.