2015 年 71 巻 1 号 p. 55-65
東京湾第二海堡は,東京湾要塞の一つである.明治33年から砲塔や倉庫などの上部構造が建設された.現在,露出している土中部のコンクリートや煉瓦構造物の外壁面に対してアスファルトまたはコールタールのような粘稠物質が塗布されているのが確認される.当時は,第二海堡全体が覆土され地下構造物となっていた.そのため,構造物の防水を目的に塗布したものと考えられた.本稿は,埋蔵文化財調査の一環として,明治期に建設された要塞に施工された防水材について外観調査および化学分析を実施し,現代の材料と比較した上で,過去の文献と照らして第二海堡に施された明治期防水技術について考察を行ったものである.