抄録
本研究では多車線高速道路の単路部における非渋滞流を対象に,道路線形条件,交通量および大型車混入率の交通条件,降雨量の天候条件を統合的に説明要因に組み込んだ速度推定モデルを提案する.既存のモデルでは円曲線区間のような特定の条件のみを考慮した場合が多いが,本モデルでは実証分析に基づいて任意の道路・交通・降雨量条件における車線別速度を推定し,これに車種別車線選択率モデルを組み合わせることで道路断面平均速度も推定可能である.これは,近年活発に議論されている性能照査型道路計画設計において速度という交通性能を評価するためのツールとして位置づけられる.ここでは,上下流の道路線形条件による影響を考慮するために有効平面曲率と有効縦断勾配という新たな指標を考案し,その有効性を検証している.