2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_407-67_I_416
産業集積の衰退により発生する低・未利用の既存建築物群「既存ストック群」を,新たな店舗出店の受け皿として用途転換を図る際の知見を得るため,既存ストック群を活用した店舗集積が発生している岡山市北区問屋町の卸商業団地を事例に,その店舗集積の実態を来訪者の行動と意識に関する調査に基づいて分析した.その結果,来訪者の行動には,問屋町内における店舗利用機会の増加や賑わい創出につながる“問屋町というエリア単位の要素”が現れていた.さらに,来訪者の意識に関する分析から,既存ストック群に店舗集積が形成されることで創出した問屋町全体の“雰囲気”が,出店店舗にとって利点となる来訪者行動の発生や問屋町としての魅力に効果を与えていることが明らかになった.