抄録
本研究は,違法駐輪対策である撤去を取り上げ,撤去効果を定量的に把握した上で効果的な撤去方法を探ることを目的とする.福岡市天神地区対象の実態調査に基づき,違法駐輪のロジスティック増殖,撤去後駐輪行動による直接・間接復帰行動等を考慮し,撤去後の違法駐輪自転車台数の時間的・空間的な分布モデルを作成した.さらに,シミュレーションモデルを作成し,撤去頻度と撤去台数を変数とした計算を行い,(1)ゾーン毎に回復速度が異なる,(2)違法駐輪台数の低位抑制には全数撤去が効果的である,(3)あるゾーンの撤去は違法駐輪台数水準の低い他ゾーンの台数を増加させる,といった興味深い結果を得た.最後に,(4)シミュレーションにより撤去の効果と撤去のコストの関係を明らかにした.