2012 年 68 巻 5 号 p. I_1133-I_1142
本研究では,乳幼児連れの移動者による移動中のマナー・モラルの低下が指摘されている現状を受け,子連れ移動に対する意識における世代間ギャップの存在と,段差解消など物理的なバリアフリー化推進が人々の意識にもたらす副作用の可能性を明らかにすることを目的とした調査分析を行った.その結果,子連れでの外出頻度,子連れ可だと思う場所,子連れ外出可の時刻,夫の育児参加への意識など,子育てに関する意識や行動には世代間ギャップが存在すること,ならびに物理的バリアフリーにより慣れていると考えられる若年層かつ海外居住経験のある人ほど高い行政依存傾向,すなわち,施策が意図せざる副作用の可能性が示された.