抄録
交通行動特性の変化をより正確に把握するには,同一個人に継続的な調査を行うパネル調査手法が有用である.本研究では,全国都市交通特性調査を対象に,パネル調査手法に変更した場合の影響や調査の継続性について検証した.その結果,パネルデータを活用することで交通行動特性や意識・習慣の経年変化をより精度高く把握できる可能性が改めて示された.また,意識・習慣については,全国都市交通特性調査と同様の傾向となることが示されたが,交通特性については,サンプル消耗に伴う個人属性の偏りがパネルデータに生じたことで,全国都市交通特性調査と異なる傾向となった.なお,調査項目の多さが2回目調査への参加意向や回収率に影響しないことや,参加意向が確認された場合は約90%のサンプルから住所・氏名を収集できることが明らかとなった.