2012 年 68 巻 5 号 p. I_427-I_436
機能地域区分問題とコミュニティ抽出問題は数学的構造が良く似ている.ネットワーク科学分野で開発されたコミュニティ抽出法を機能地域区分問題に援用することにより,新たな機能地域区分手法を提案することが可能になる.ただし,ネットワーク科学では一般に地理的近接性の影響を考慮しないネットワークを分析対象とするが,機能地域区分問題では地理的近接性の影響を無視できない.本研究では,代表的なコミュニティ抽出法の一つであるモジュラリティ最大化法と代表的な空間相互作用モデルの一つであるエントロピーモデルを組み合わせた機能地域区分手法を提案する.国勢調査の市区町村間通勤データを用いたケーススタディにより,提案手法の有効性を検証する.