2012 年 68 巻 5 号 p. I_523-I_539
土木計画の対象は人間がかかわるシステムであることが大半である.したがって,人間の行動をどのように取り扱うのか,さらにはどのような人間行動を前提とするのかが決定的に重要となるであろう.サイモンの限定合理性の概念は人間行動の捉え方に大きな影響を与えてきた.本稿では,サイモンの限定合理性を解説し,それを土台に人間行動が集合したシステムの捉え方を考察する.そして,完全合理性の仮定からは状態記述的にシステムを捉えられることが導かれる一方,限定合理性の前提からはプロセス記述的に様々なシステムを捉える必要があることを明らかにする.また,サイモンが組織現象の研究などを通して解明した計画およびその性質について明らかにする.以上を踏まえ,土木計画へのインプリケーションとしてのプロセス記述について考察する.