2013 年 69 巻 4 号 p. 267-275
本研究では,NIMBY型の公共事業において,事業内容の違いにより手続き的公正さが事業の受容に及ぼす影響について検討した.態度変容の知見によれば,事業内容を理解できるか否か,そして理解できる場合には,事業内容に基づいた判断が難しいか否かによって手続き的公正さの受容に及ぼす影響が異なることが考えられた.事業内容を理解できない場合は,事業内容に基づいた判断ができないため,手続き的公正さが受容判断に影響すること,事業内容を理解できる場合には,事業内容に基づいた受容判断が難しいほど,手続き的公正さの影響が強くなることが予測された.実験の結果はこれらの仮説を支持した.結果をもとに,公共事業の受容に関して,手続き的公正さの働きかけ方と個人的意思決定という側面からのアプローチについて考察した.