2013 年 69 巻 4 号 p. 300-314
本研究では,社会的ネットワーク及び交通ネットワークの構造が都市空間上における主体の交通・コミュニケーション行動に及ぼす影響を分析するための理論的枠組みを構築する.具体的には,多起点・多終点を持つ一般的な交通ネットワークの下,社会的ネットワーク上でつながり(リンク)を持つ主体同士が対面コミュニケーションを通じて知識や情報,アイディアの交換及び創造を行う状況を想定し,システム全体としての均衡における主体間のコミュニケーション水準を解析的に導出する.その上で,交通混雑を考慮したモデルへと拡張し,両ネットワークの位相幾何学的構造とコミュニケーション行動の関係について分析を行う.また,厚生分析により均衡におけるコミュニケーション水準が非効率的であることを示し,最善政策・代替的政策案について検討を行う.