抄録
主要先進国・国際機関の公共事業評価に適用される社会的割引率について調査を行った結果,1990年以降,主要先進国等の多くで,公共事業評価に適用される社会的割引率の数値の引下げ,その算定方法の見直し,不確実性への対応の進展(時間逓減割引率の導入,感度分析の実施等)等が行われていることがわかった.これらは,実質市場金利の低下,世代間の公平性への配慮,関連する分野での調査研究の進展等を主たる理由としている.我が国の公共事業評価に適用される社会的割引率は4%と設定され,10年以上改定されていないが,これらの調査結果を踏まえ,社会的割引率の水準及び算出方法等に関する論点の整理を行った.