抄録
自転車は車道通行が原則であるにもかかわらず,歩道通行を安全と考える利用者はいまだ多い.自動車からの視認性の悪さが指摘される歩道通行だが,その事故の実態は詳細に分析されていない.そこで本研究では,大田区内の歩道を有する道路での事故を分析し,歩道通行する自転車の事故要因を考察した.過去4年間での自転車に関連する事故の分析を行なった結果,歩道通行する自転車と歩行者・自転車との事故傾向は歩道幅員によらないこと,対自動車事故では,車道通行する自転車の事故要因が自転車側の違反であるのに対し,歩道通行する自転車は正しい通行方法であっても事故に遭っていることがわかった.さらに,単路部,交差点部とも,歩道通行の特徴である自転車の双方向通行と自動車からの視認性の悪さが事故の要因となっていることが明らかとなった.