2014 年 70 巻 5 号 p. I_55-I_61
人の移動などにおける地域間の依存関係は,その全体構造を把握する上で重要である.これらの動態を知るために,各種統計データが整備されている.近年では,ベイジアンネットワークなどにより,変数間の依存関係を抽出する手法が発展している.本研究では,ベイジアンネットワークに基づくグラフ構造推定により,ODデータから,地域間の依存関係を視覚化する手法の構築を目的とする.ベイジアンネットワークでは,変数間の依存関係を,条件付き確率を伴う有向グラフで表現する.この関係をB-スプライン非線形回帰モデルでモデル化し,事後確率最大化により,グラフ構造を推定する.有向グラフの組み合わせは多数に及ぶため,情報量規準の下,グラフ構造を決定する.提案手法を,全国幹線旅客純流動調査に適用し,地域間の依存関係の視覚化を試みた.