抄録
2011年3月11日に発生した東日本大震災は,首都圏において様々な交通障害を引き起こし,多くの帰宅困難者を生んだ.自然災害に対する防災,減災計画を考える上で,人々の災害時の避難行動を分析し,その特徴を知ることには大きな意義がある.本研究では,3月11日を含む長期間の東京都市圏における人々のGPSデータを用いて,震災時の経路選択行動分析を,平常時の行動と比較しながら行った.震災時は通信の輻輳等によりスパースなGPSデータが多かった中で,震災後に人々が利用した帰宅経路を7割程度推定することが出来た.また,利用した交通手段の分析も併せて行った.今後は精度の向上を図ると共に,目的地選択等,他の側面での行動分析を深めていきたい.