抄録
近年,世界各国の都市で,自転車を公共交通機関として活用するバイクシェアリングシステム(BSS)の導入が進んでおり,わが国においても導入の気運が高まっている.しかしながら,導入にあたっては,既存の公共交通機関との関係を十分に考慮したうえで,導入規模や料金体系などの施策内容を検討する必要があるが,わが国においては適切な評価が行われているとは言い難いのが現状である.
そこで,本研究は,京都市を対象に,料金体系とポートの設置規模の異なるBSS導入施策を設定し,BSSを含めた公共交通機関と自動車による移動を再現できる都市内交通シミュレーションモデルを構築して,BSS導入時の交通状況をシミュレートする.そして,その結果からBSS事業の収益,利用者便益,社会的便益を算出することで,BSS導入施策を定量的に評価した.