抄録
原材料の調達は,製品の生産に不可欠であり,製品の流通にも影響を及ぼす.本研究は,行政側の物資流動発生メカニズムの把握や,企業側のサプライチェーン設計に資することを目指し,複数の階層に渡る原材料業者の行動を考慮したサプライチェーンネットワーク均衡モデルを提案する.製造業者,卸売業者,小売業者,消費市場,物流業者の分権的な意思決定や行動の相互作用を考慮した既存モデルに,複数の多階層に渡る原材料業者の意思決定を組み込む.モデル化の際には,上流から下流へと至る原材料の変形や,原材料から製品への変形を考慮し,原材料の代替性の有無や程度が考慮可能な生産関数を採用する.このモデルを用いて生産施設の被災がサプライチェーンに及ぼす影響などについて,基礎的な数値計算を行う.