抄録
消費者が全ての店舗の情報を保持しているとは限らず,そのような情報の偏りは店舗選択等に大きく影響するだろう.本研究ではこの情報の偏在の解決を地域商店街等復興の糸口ととらえ,その一因の候補として広告に注目した.企業による広告発信を扱う既存のモデルのうち,消費者が広告を受け取る量の限界を考慮したモデルを活用する.離散的な地域と広告媒体の対象範囲の違いという2つの空間的な要素を組み込み,数値計算による分析を行った.料金上昇を対象範囲の狭い媒体のみに行うと,対象範囲内で(比較的)収益を上げる企業の認知度が(地域を跨ぐ企業に比べ)低下し,かつ発信の効率低下を意味する混雑悪化を招く場合があることを示した.あわせて,媒体が複数ある場合,限定的な条件下で包括的な料金上昇がパレート改善を達成することを証明した.