抄録
ドライビングシミュレータ(以下DS)は,実車による実験に比べ,安全面やコスト面での利点があり,道路施設評価や情報提供施策の分析など,多様な目的に活用されている.しかし,実環境での走行感覚と比べて,DSは速度感覚,距離感覚などに相違があることが分かっている.本研究では,開発した自転車用の広視野型ドライビングシミュレータについて,走行時の速度,車間距離,側方距離,サインの判読距離に着目して,現実環境との感覚の違いを比較する実験を行い,相違の程度を定量的に明らかにすることを目的とした.この結果,DSでは実環境に比べて,指示した速度より速く,車間距離は短く感じる傾向が生じるがその割合からみて時間感覚は再現されている.ただし,画像解像度の影響からサインの判読距離は短くなることを定量的に明らかにした.