抄録
本研究では,労働・資本・中間財といった“生産要素の地域間移動”と“経済活動の集積の経済”の両方を考慮した空間応用一般均衡(SCGE)モデルを開発する.そのために,新経済地理学分野で個別に構築されてきた,労働・資本・中間財の地域間移動を考慮した一般均衡モデルを統合し,生産要素の移動と経済活動の空間的集積現象を表現可能なSCGEモデルを構築する.そして,現実データと整合的な基準均衡状態を得るためのパラメータ推定・キャリブレーション方法と,政策パラメータの変化に伴い基準均衡状態から創発する安定均衡状態を得るための数値解析手法を提示する.最後に,日本を対象とした数値計算を実施し,開発した枠組みの特性,解析手法の有用性を明らかにする.