土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
72 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
和文論文
  • 瀬木 俊輔
    2016 年 72 巻 2 号 p. 113-127
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,既存研究により推定されている高い貨物の時間価値に着目し,二つの問題意識を設定した.第一に,貨物が高い時間価値を持つ原因である.第二に,高い貨物の時間価値は,物流業が持つ輸送能力のバッファ(余裕)を増加させる可能性があることである.本研究はこれらの問題意識の下に,リードタイムと荷受人の収益の関係,および,貨物の時間価値とトラック物流の輸送能力のバッファの関係について理論的な考察を行った.分析により以下の理論的示唆を得た.他の条件が等しければ,短距離輸送の場合や荷受人が小規模の場合に,貨物の時間価値は高くなると考えられる.トラックの旅行時間の短縮は,輸送能力のバッファを減らすことを通じて,トラック物流の費用を節減しうる.
  • 三科 善則, 室町 泰徳
    2016 年 72 巻 2 号 p. 128-137
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,マクロ的視野から日本の乗用車CO2排出量減少下における自家用乗用車の利用変動を分析し,CO2排出量削減施策の立案に有用な情報を与えることを目的としている.分析は,Modified Laspeyres Index(MLI)法を用いて,普通・小型と軽乗用車別に,一台あたり走行距離が減少傾向にあった2003-2008年と増加傾向に転じた2010-2013年に分け,一台あたり走行距離変動の主要因を時系列要因分析により地域別に特定し,2003-2013年の両車種間の一台あたり走行距離の差の変動について車種間要因分析をおこなっている.分析の結果,両車種とも燃料価格上昇が一台あたり走行距離の減少に大きく寄与し,その中で軽乗用車は各地域とも普通・小型乗用車に比べて日常的に利用され,この傾向は公共交通の利便性の低い地域において強いことが示唆された.
  • 三浦 詩乃, 出口 敦
    2016 年 72 巻 2 号 p. 138-152
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
     本研究はアメリカ・ニューヨーク市交通局による施策の一つである「Plaza Program(プラザプログラム)」制度を対象とし,(1)制度化に至るまでの同市の歩行者空間に関する施策の変遷,(2)制度の運用方法及び計画された歩行者空間(プラザ)の空間的特徴について整理を行い,制度の特徴を明らかにした.さらに,(3)多様な種類の民間組織によるマネジメントの実態から,マネジメントの成果として,渋滞などの交通問題の緩和に加えて,コミュニティが抱える社会的課題への取組みや地域活動の活発化,景観の魅力向上がもたらされていることを提示した.
     以上から得られた知見を総括し,プラザプログラムが短期間に普及してきた要因,従来の街路利活用のマネジメントの仕組みと比較した際の利点と課題を明らかにした.
  • 山本 隆
    2016 年 72 巻 2 号 p. 153-172
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,全国高速道路網の交通量推計を行うことを目的とした,利用者均衡配分に基づく交通量推計モデルを構築したものである.この交通量推計モデルは,ネスティッドロジットモデルによる構造とし,転換率計算の際の一般道路のログサム効用を簡易に推定する構造としている.また,地域による高速道路利用傾向の違いや料金割引の現況を反映させるとともに,経路選択肢集合設定方法について検討した.そして,高速道路交通量の現況再現精度から,構築した推計モデルの妥当性を評価した.更に,道路交通センサスが行われた平成22年度は,無料化社会実験が行われており,無料化された高速道路利用のODデータが得られたため,無料化高速に対応したモデルも合わせて構築した.
  • 小林 潔司, 貝戸 清之, 小濱 健吾, 早矢仕 廉太郎, 深谷 渉
    2016 年 72 巻 2 号 p. 173-190
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     社会基盤施設の劣化速度の異質性は様々な劣化要因により発生する.本研究では,初期施工時の技術的問題に起因する劣化速度の異質性と管理上の問題で生じる異質性の双方を同時に考慮した混合マルコフ劣化ハザードモデルを提案する.具体的には,管理環境に起因する劣化の影響を取り除いた理想的な劣化過程をマルコフ劣化ハザードモデルを用いて記述する.また,所与の技術的条件の下でベストプラクティスとなりうる劣化過程と現状の劣化過程との乖離度合いを管理効率性パラメータを用いて表現する.その上で,確率的フロンティア分析に基づく効率性評価を通じて,施工・管理のあり方が劣化速度へ与える影響を定量的に評価する.最後に,下水道管渠に対する点検データを用いた適用事例を通じて本研究で提案する手法の有用性について考察する.
  • 水谷 大二郎, 小林 潔司, 風戸 崇之, 貝戸 清之, 松島 格也
    2016 年 72 巻 2 号 p. 191-210
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,連続変数を用いて表現される劣化管理指標に対する劣化予測モデルを開発する.社会基盤施設の劣化管理指標の中には連続量として観測されるものが少なくない.これらの連続量を離散化し,マルコフ連鎖モデルによって劣化を予測することも可能であるが,より高精度な劣化予測結果を求めるためには,連続量の時間変化を直接的にモデル化することが望ましい.そこで,本研究では,社会基盤施設の構造特性や環境条件に応じて変化するような特性変数を組み込んだ連続型劣化ハザードモデルを開発し,マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いたベイズ推定手法を提案する.さらに,高速道路舗装の耐荷力予測問題を対象として,本研究で提案する方法論の適用可能性について実証的な分析を試みる.
  • 高山 雄貴, 赤松 隆, 石倉 智樹
    2016 年 72 巻 2 号 p. 211-230
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/06/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,労働・資本・中間財といった“生産要素の地域間移動”と“経済活動の集積の経済”の両方を考慮した空間応用一般均衡(SCGE)モデルを開発する.そのために,新経済地理学分野で個別に構築されてきた,労働・資本・中間財の地域間移動を考慮した一般均衡モデルを統合し,生産要素の移動と経済活動の空間的集積現象を表現可能なSCGEモデルを構築する.そして,現実データと整合的な基準均衡状態を得るためのパラメータ推定・キャリブレーション方法と,政策パラメータの変化に伴い基準均衡状態から創発する安定均衡状態を得るための数値解析手法を提示する.最後に,日本を対象とした数値計算を実施し,開発した枠組みの特性,解析手法の有用性を明らかにする.
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