日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成30年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-25
会議情報

ポスター発表
半乾燥野菜を用いた調理品における嗜好性の検討
*飯村 裕子長尾 慶子小林 理恵笹原 由雅
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】これまで半乾燥野菜の調製法について研究し、天日乾燥による重量減少率30%試料が茹で加熱調理品として良好な品質となることを報告した。その中で、半乾燥加工は野菜中の呈味成分である糖類やアミノ酸を増加させるため、調理時に用いる調味料の低減化の可能性が示唆された。本研究では、半乾燥野菜を用いた調理品を調製し、野菜の半乾燥加工が調理品の嗜好性に与える影響を検討した。
【方法】乾燥させない生野菜と、天日(直射日光下)、機械(恒温庫内)、風(筒内送風)にて重量減少率30%まで乾燥させた半乾燥野菜を用いて、ほうれん草のごま和えとにんじんのきんぴらを調製した。使用する調味料は乾燥前重量に対して同濃度となるように設定した。乾燥時の重量変化と加熱後調味前の糖度(糖度計)、アミノ酸含量(HPLC)の測定、さらに調理品の官能評価(嗜好、識別)を行った。
【結果】ほうれん草では、機械乾燥に比べて天日及び風乾燥の乾燥時間が有意に長くなった。茹で加熱試料においては、天日及び風乾燥試料が生試料に比べ糖度及びアミノ酸が増加し、ほうれん草のごま和えの官能評価において味と香りが好まれた。一方、にんじんの半乾燥試料を炒め加熱した際に、生試料と比べて著しい重量減少が見られた。さらに、これまで良好とされてきた天日乾燥では糖度やアミノ酸の増加が見られず、風乾燥試料において生試料と比較してこれらの増加が見られた。きんぴら調理品の官能評価でも、風乾燥試料は味と香りが好まれる傾向となった。以上の結果から、半乾燥法のうち,ほうれん草では天日乾燥と風乾燥,にんじんでは風乾燥において生試料と同様に好まれる傾向にあり、機械乾燥とは異なる嗜好性を発現させることが示唆された。
著者関連情報
© 2018 日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top