2016 年 72 巻 5 号 p. I_1283-I_1291
本稿では,時間帯の交通量の差異に着目し,道路交通センサスの時間交通量に基づいて時間帯別の交通事故リスクを算定し,同事故リスク値を用いて事故発生要因の分析を行う.具体的には,愛媛県の直轄国道のデータを対象とし,時間交通量,沿道状況と道路構造が交通事故リスクに与える影響について,各事故類型別にポアソン回帰モデルを用いて分析した.その結果,時間交通量が事故リスクに与える影響を把握するとともに,事故発生要因が事故類型によって異なるとの知見を得た.具体的には,右左折事故と出会い頭事故では,特定の交通量レベルで事故リスクが高くなること,追突事故では,時間交通量が増大するに従って事故リスクも増大すること,逆に車両単独事故では,時間交通量の増大に伴って事故リスクが減少すること,などの結果が得られた.