抄録
近年,地域社会の課題に対して,市民自身が自主的・自発的に取り組み,課題解決に貢献する様々な市民活動の事例が増えつつある.しかし,市民活動の中には,当初の理念や問題意識が薄れていき,その活動が長続きしない事例も少なからず見受けられる.本研究では,市民活動の持続可能性の規定要因を明らかにすることを目的として,一般市民を対象として,市民活動への参加状況やその活動期間の実態を調査した.それと同時に,市民活動の持続可能性に関わる要因として,地域愛着や文化資本等の諸項目を測定した.この調査の結果から,市民活動の持続可能性に寄与する心理要因やその心的プロセスについて検討し,市民の主体的かつ継続的な活動を支えるための方途について考察した.