抄録
核家族化の進行やライフスタイルの多様化により,人のつながり,すなわちソーシャルネットワークの希薄化が懸念されている.本研究では,個人レベルでの支援者の有無だけでなく,他者間の人づきあいの程度など地域レベルでのソーシャルネットワークが,個人の生活安心感に及ぼす影響の把握を目的とする.具体的には,インターネット調査によって捕捉した支援者数分布等を用いて,分析対象地域全体のソーシャルネットワークを再現し,その特徴をネットワーク指標を用いて定量化する.そして,それらネットワーク指標や個人属性,地域特性を用いて,生活安心感に影響を及ぼす要因分析を行う.分析の結果,自動車の利用可能性や病床数などの個人属性や施設整備状況に加え,ソーシャルネットワーク特性が生活安心感に影響を及ぼしていることを明らかにした.