抄録
地方創生が叫ばれる現在,大型店舗が地域に与える影響に関する知見が重要となっている.しかし,筆者らが知る限り,消費者の大型店舗での買い物が,地域経済に与える影響に関して,国内においては実証的な知見が見当たらない.そこで,本研究では,消費者の買い物店舗の選択が地域経済に及ぼす影響の検証を目的として,京都市内の様々な経営形態の食料品小売店舗を対象に調査を行い,消費者の買い物支出の帰着先を分析した.分析の結果,買い物支出のうち京都市に帰着する割合が,大型店舗では地場スーパーや地元商店の半分程度であることが示された.本研究成果は,地域活性化に向けた望ましい消費者行動とは如何なるものかについての示唆を与えると同時に,大型店舗の進出による地域活性化への期待に疑義を唱えるものといえよう.