抄録
わが国では多くの都市で人口減少が見込まれ,持続可能性を理念とするコンパクトシティが注目されている.コンパクトシティを形成する際,自然災害に脆弱な場所に集約させることはインフラ維持管理の効率化の視点から見て非効率であり,自然災害リスクの低減化の視点も重要である.本研究では水害リスクに着目し水害対策やコンパクトシティに向けての施策が将来時系列の都市内人口分布に及ぼす影響を評価可能な理論モデルの構築を行い,富山市を対象に実証モデルを構築し2010年~2040年における人口分布の推計を行った.また実証モデルを用い,富山市が実施している都心部等への人口誘導施策が人口分布に及ぼす影響を検証するとともに,水害リスクを軽減させると想定される規制・認知の施策オプションが人口分布に与える影響の分析を行った.