抄録
近年,地域コミュニティーの衰退が問題となっている.本研究では,子縁による地域コミュニティー醸成に着目した.子縁とは,地域の子どもを通じた縁のことである.子どもと地域住民とのつながりも子縁であるし,子どもを通じてできた地域住民同士のつながりも子縁である.例えば,「地域の子どもと会話をする」や「子どもを通じて知り合った人と買い物に行く」などである.分析の結果,子縁の大きい住民ほど,「子縁による効果認識」や「住民との関わり」が強いことが示された.また,地域の子どもと話す機会があることが,地域課題解決への意識につながることが明らかとなった.子縁による地域コミュニティー関連要因の構造化により,子縁が「子縁による効果認識」や「資本の貸し借り」を生み,それが地域の課題解決意識につながることが示された.