抄録
本研究は,東京都市圏,中京都市圏,京阪神都市圏において近年整備された都市鉄道駅について,都市鉄道整備期における自動車分担率に着目した上で,駅周辺地域における交通環境負荷を経年的に分析した.
その結果,整備期における自動車分担率が低い駅ほど,都市鉄道駅整備による交通環境負荷の抑制傾向が強まることを統計的に明らかにした.逆に,モータリゼーションの進展に伴って発展した自動車依存型の地域においては,都市鉄道駅が整備されたにも関わらず,交通環境負荷の増加傾向が経年的に強まることを示した.ただし既に自動車分担率の高い地域においても,開発率が高い既成都市域では,列車運行本数の多い都市鉄道駅を整備することで,一定の交通環境負荷の抑制傾向が得られることを示した.