土木学会論文集D3(土木計画学)
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和文論文
集積経済理論の実証におけるモデル構造選択の課題
大澤 実赤松 隆
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2017 年 73 巻 1 号 p. 1-15

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抄録

 新経済地理学に代表される集積経済理論の枠組みが,都市・地域政策の長期的経済評価のための空間応用一般均衡分析へと応用されつつある.本研究では,近年の一部の計量分析が共通して抱える,モデル構造選択上の課題を指摘する.具体的には,(i) パラメタ設定のいかんによらず,現実の経済活動の空間的集積パターンが持つ多極性を内生的に表現しえない数理的構造を持ったモデルが選択されており,また (ii) 複数均衡の存在可能性も考慮されていない,という課題を指摘する.そのために,代表的研究例としてAllen and Arkolakis1)のモデルを取り上げ,その集積・分散挙動を解析的・数値的に分析することで,このモデルがその数理的構造上,一極集中的パターンのみしか表現しえないことを明らかにする.その上で,計量分析への含意を議論する.

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© 2017 公益社団法人 土木学会
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